こぢんまりとしたマンションの階段を上り、4階のお部屋の前で一息ついて、そっとチャイムを鳴らした。
10秒ほどの間を置いて開いたドアから顔を出したのは、まだ幼さの残るかなり小柄で可愛らしい女性だった。
目鼻立ちがずいぶんとハッキリしている。
「こんばんは!かーますずきです!」
「こんばんは、どうぞ上がってください」笑顔の中に緊張と戸惑いが混じる表情でお部屋に迎え入れてくれた。
6帖ほどのワンルームタイプ、綺麗に片付いたお部屋だ。
「ベッドは汚れるとあれなんで、床でしてもらってもいいですか?」「もちろん、大丈夫ですよ」
挨拶も簡単に、毛布を床に敷いてさっそく施術をすることに。
「では、うつ伏せになってもらってもいいですか?」
「あの・・・やっぱり脱がないとダメですか?」「え!?」
問い合わせメールの”興味があるサービス”欄には、アロママッサージとだけしか無く、マッサージだけの依頼のつもりで来たけど、服の上からアロママッサージとはあまりにも難題過ぎて、正直戸惑いを感じてしまった。
「では、足とハンドマッサージだけしてみましょうか・・・」
「すみません・・・お願いします・・・」そう言って足裏のマッサージからはじめていった。
テレビを付けてまったりスマホをいじっている、かなりのリラックスモードだ。
足をモミモミしながら、自己紹介も兼ねた会話を楽しむ。
歳は20代前半、地方の美容師専門学校を卒業して、名古屋でアシスタントをしている美容師の卵だそうだ。
かなりの激務らしく、束の間の休日に心もカラダもほぐしてもらいたくてご依頼くれた・・・らしいのだが、どうも腑に落ちない。
何が腑に落ちないかというと、もちろん自分はマッサージだけの依頼にもお応えしているが、
性感マッサージや
クンニがメインで、ホームページも日記もエロを全開にしている。
いくら無料でマッサージしているからといって、自宅を明かしてまでカーマ鈴木に依頼するだろうか?というモヤモヤとした疑問を頭に残しながら、マッサージを続けていった。
他になにか秘めたる事情がある、というのが自分の推測だった。
「エッチなことには興味は無いんですか?」
わりと直球な質問を投げてみた。
「う~ん、実は・・・まだ男性とお付き合いとかしたことが無くて・・・」「そうなんですか・・てことは、バージンなんですか?」
「えっ・・、あ・・はい・・・」「なるほど、そういう事でしたか・・・」
更に詳しく聞いていくと、今は片想いの好きな人がいるそうだ。
処女は大切にしておきたいけど、
処女喪失の予行練習的なご希望が少なからずあるという。
なら最初からそう言ってくれればいいのに・・・と思ったが、そこは複雑な乙女心というものだ。
あまり深くはつっこまずに、アロママッサージが終わったら軽く性感帯も開発してみようと考えた。
「それじゃあ、服も脱いじゃいますか」
「え・・・、、全部ですか?」「とりあえず上だけ、でいいかな、、」
「あの・・・、部屋を暗くしても、いいですか?」「もちろん」
カチカチと照明を調節すると、豆電球が壊れていたのか、真っ暗闇になってしまった。
「これじゃ、何も見えないなぁ・・・」
「これでお願いします(キッパリ)」暗闇の中、カラダ全体のアロママッサージを一通りこなしてから、
カーマタッチから施していった。(
中編へつづく・・・)
前編|中編|後編