背中に手を回し、互いをたぐり寄せるようにふたりは抱き合っていた。
ガウンごしに、カラダの温もりが伝わってくる。
もっと強く抱き寄せると、それに呼応して彼女の手にも力が入った。
その手はあまりにも優しく、言いようのない切なさが僕の身体の芯を通り抜けていく。
「キスをするよ」
コクリと頷く彼女の口元に、そっと口唇を重ねた。
ほどよく厚みがあり、やわらかい。
しばらくのあいだその甘い口唇を味わい、口先の神経から伝わる淡い感覚を堪能していた。
口を絡ませながら、ゆっくりとガウンを脱がしていく。
あらわになったふたりの肌は、吸い付くようにピタリと密着し、皮膚の神経は鋭敏に彼女の温もりを感じていた。
右手をそっと腰に回し、お尻から背中にかけて螺旋を描くように繊細なタッチで触れていく。
これまでの男性経験によって性感を閉ざしてしまった女性に対して、
カーマタッチが効果を発揮するのかどうかは正直自信がなかった。
しかし彼女の身体は”
打てば響く”という表現どおりの素直な反応をしてくれた。
指先が肩や脇腹など敏感な部分に差し掛かると、身体をねじらせ、しだいに呼吸が荒くなってくる。
指を滑らせていくごとにピクピクと反応が返ってくるのが楽しくて、つま先から頭のてっぺんまで丹念に愛撫していった。
肩に軽くキスをすると、ビクンッと身体をのけ反らせる。
興に乗ってきたので、腰のあたりからうなじにかけて、背骨に沿うようにぬるりと舌を這わせた。
「あっ・・・」「けっこう敏感なんだね」
うなじから耳元にかけて小鳥のさえずりのようにキスをしたり、舌先で丁寧に愛撫していく。
「だって・・すごく気持ちいいから・・・」「今日は、もっと気持ちよくなろうね」
耳のひだにねっとりと舌を絡ませながら、低い声でそう囁いた。
「うん・・・」湿った吐息が、僕の耳元をくすぐった。
(
傷ついた鳥たちへ(3)につづく・・・)
1|2|3|4