冷たく乾いた秋の夜風は、ふと胸に感傷を呼び覚まします。
時どき思い出すのは、あの夜の施術。
叶えてあげることができなかった願い。
それは半年前、同じように涼しい風が吹く夜の事。
市の外れに、その女性が住むマンションはありました。
人見知りなのでしょうか、言葉少なげにお部屋へ通され
二言三言簡単なカウンセリングをしてから施術が始まりました。
彼女のお悩みは、『大人のオモチャの使用に慣れてしまって、最近エッチではイケなくなってしまった』こと。前回の日記と似たようなお悩みです。
途中までは気持ち良くなるけど、絶頂までは行かずに急に快感の潮が引いてしまうそうです。
最善を尽くしましたが、結果としてその夜は彼女をオーガズムに導くことはできませんでした。
途中までいい感じで、快感が高まっていきますが、
急に風船がしぼむように全く感じなくなってしまうのです。
人見知りな性格で心身をうまく解放できなかったのか、快感に集中できなかったのか。
自分の施術が的外れだった可能性も十分にあります。
日記では主に上手くいったケースを書いていますが、一度の施術ではお悩みに応える事が出来ない事例も実は少なからずあります。
女性本来の性感脳を呼び覚まし、究極の快感へ誘う。
いわば『性感道』を極めたいと願う自分にとって
毎日は修行と研鑽の連続です。
昔の自分とは比較にも及ばず。
半年前、しいては数日前よりも知識と経験、技術は進歩していると信じているからこそ、ふと過去の施術を振り返り
(あの時ああしていれば、、)
(別のやり方もあったかもしれない、、)
と悔やむことも少なくはないのです。
一度の施術でなにも得るものがなければリピートは見込めない厳しい世界です。
もう一度お会いして、リベンジしたい。
そんな事を考えていた折に、なんと彼女から半年ぶりの依頼が訪れたのです。
勇む気持ちを抑えて、リベンジの地へ。
今回の施術では前回よりも丁寧に、じっくり時間をかけて愛撫しようと決めていました。
オイルマッサージでカラダをほぐし、カーマタッチで焦らしながら性感脳を目覚めさせていきます。
究極の乳首攻めから、愛撫の指先は秘密の部分へ。
ほんのりと濡れた割れ目に沿ってゆっくりと指先を下からなぞっていきます。
十分に陰唇を揉みほぐしてから指先を愛液で満たされた秘密の洞窟へ挿れようとすると、
「痛いっ!」
「え??」
かなり優しく触れたつもりでしたが、彼女には刺激が強すぎたようです。
(前回は大丈夫だった気がするけどなぁ・・?)
気を取り直して、もっと微妙な力加減ができる口を使って愛撫してみます。
舌を広く柔らかくつかって、慎重に舐め上げていきますが
やはりここでもクリトリスに触れると「それ、嫌〜」と不快感を訴えます。
リベンジを果たすどころか、出鼻から失敗して空気は最悪・・。
しかしここで諦めたら試合終了です。
少しアプローチを変えてクリトリスの上側、包皮を向かずにチロチロとクリちゃんを右横から揺らしていきます。
すると、、
「うぅっ・・・」
湿った声が微かに聞こえてきました。
そのまま同じリズムで愛撫を続けます。
「あぁっ・・・それ気持ちイィ・・」
(ふむふむ、、クリちゃんが敏感すぎるタイプなのかな?)
ここでリズムや舌の力を乱してはいけません。
お湯を沸かすように、同じ刺激を与えつづけます。
「も、もっと左・・・」
なんと彼女から指示が入りました。
なるほど、同じクリでも気持ちいい場所は左右対称じゃないですからね。
舌をクリの左側へ移動して今度は左横から揺らすように愛撫していきます。
「もう少しだけ・・・う、上がいぃ・・」
そのまま顔を少し上にずらします。
(なんか、UFOキャッチャーみたい・・?)内心ほくそ笑んでしまいましたが
どこが気持ちいいのかをハッキリと伝えてくれるのは嬉しいものです。
「っあ・・・そこ・・・うぅ・・・き、気持ちイィぃぃ!」
どうやら最も感じる場所を探し当てることが出来たようです。
だんだんと息づかいが荒くなり、声量も増えてきました。
「イキそう・・・う、だめ・・・イクっ!イッグぅぅぅぅぅ!!!」
あっという間に彼女は絶頂に達してしまいました。
半年の間に彼女の中でどんな変化があったのかはわかりません。
僕がリベンジの機会を待ち望んでいたように
もしかすると彼女の胸の内にも、もっとこうして欲しかったのにという思いが募っていたのかも知れません。
性感マッサージも人と人との触れ合いですので、やはり意思疎通は重要だと思います。
お客様にあれこれ聞いて快感への集中が途切れてしまわないように、自分の施術では可能な限りお客様の反応だけを観察して力加減などを調節していますが、
「あんっあんっ」や「うっ・・・」などの喘ぎ声だけでは何を感じているのか分からないというのが正直なところです。
今回のように気持ちいい場所を教えてくれるのがベストですが、それが恥ずかしかったら喘ぎ声に変化をつけて教えてくれても助かります。
そしてこのように感覚を共有することは、パートナーとの性行為
においても、きっと満足度もあげてくれるでしょう。
セックスはたんなる肌の触れ合いではなく、感情や氣(エネルギー)の交流であるとも言われます。
人間の脳にはミラーニューロンという神経細胞があります。
これは他人の動作を見て、自分がしているように感じる“共感能力”を司っているのですが、“良いセックス”ではこのミラーニューロンが活発に発火して、お互いの快感を共有する状態になっているはずです。
女性が快感を叫べば、男性もより感じ
女性が深くオーガズムに達するのを見れば、頭の中も溶けてしまうような感覚に酔いしれます。
このような状態になるためには、やはりコミュニケーションは不可欠だと言わざるを得ないでしょう。お互いの意思疎通がない性行為は、たとえ二人の営みであってもマスターベーションの延長のようなものになってしまいます。
でも感じている振りをしてはいけません。
自分のできる範囲で、いつもより少しだけ、自分の感覚を相手へ表現することによって
より楽しく気持ちの良い性生活が送れると信じています。