時計の長針が1周するくらいの時の間に
愛撫の指先は身体の末端から胸の頂を巡り、やがて秘部に到達した。
こんもりとふくらんだ丘のふもとには、小さな蕾が美しく佇んでいる。
しっかりとした弾力のある、それでいて綺麗にまとまった花弁は
まるで開花を待ちわびているように、ほんのり赤みを帯びていた。
その周りにゆっくりと指先を這わせていくと
蕾は少しだけほころび、じんわりと露が溢れ出した。
滴り落ちそうな蜜を指先でそっとすくい、花びらに塗り広げていった。
やっと触れられた喜びか、彼女の身体が小さく震えた気がした・・・(つづく
『イクという感覚がわからないです・・』
その女性と初めてお会いしたのは、もう半年以上前のことです。
その日のセラピーではあいにくオーガズムというハッキリとした感覚は得られなかったようでした。
あれからなかなかタイミングが合わずに、お会いすることが叶わなかったのですが
ようやく先日、2回目のセラピーを行う事ができました。
今回、彼女はいろいろ質問をしてくれました。
『どうしたらイケるのか?どうしたらエッチでもっと乱れる事ができるのか?』
そんな時、僕はしばしば言葉を詰まらせてしまいます。
なぜならそもそも言葉で説明しにくい感覚的なものであるし、
あえて言葉でレクチャーしようとするとあまりにも抽象的で投げやりで、自分の職務を放棄しているようにすら聞こえるかもしれないからです。
まず原則として、イク事にとらわれている時点でイク事から遠ざかっているという逆説的な説明をしなければいけません。
イキたいから自分の施術を受けに来てくれたのに『それではイケませんよ!』と言っているようなものだから、じつに心苦しいです。
オーガズムというのはあくまでも性的快感の延長線上にしかないので
そろそろイケるかな?とかイカなきゃ!という余計な思考は快感を減衰させるノイズにしかならないのです。
オーガズムとは誰かから与えられるものではなく、どこからか降ってくるものでも、無理に掴み取るものでもなく、
どちらかというと自身の内側から“どうしようもなく”湧き出てくるものだからです。
ある意味ではオーガズムとは
“気持ち良くなりたい”という目的の副産物に過ぎないのかもしれません。
副産物を目的にすることはナンセンスなのです。
性的快感をエネルギーとして身体に蓄えていって、それが限界に達して爆発することがオーガズムという現象なのですから
性的快感をいかに得るかという事がもっとも重要な要素になってきます。
それでは“性的快感”の源泉とは何か?というと
それはずばり、『性欲』だと僕は思っています。
『性欲』とは何かというと、男女がお互いを求めて引きつけ合う、ある種の『引力』のようなものですね。
それは地球に生命が誕生して以来、命のバトンを渡す度に繰り広げられてきたもっとも根本的な『エネルギー』のはずですが
現代社会では様々なノイズがあふれていて、性欲を恥ずかしいものと考えてしまったり
性欲そのものが弱まっているように思います。
実は自分の性感開発セラピーでは、眠っていた“性欲”を目覚めさせる事を目指して行っています。
オーガズム未経験の女性は一人エッチをした事がない、上手く出来ないという女性が多い気がします。
自分のアソコに触れることすら怖くてできないという女性も多いですね。
男性としては自分の性器を触れないとういのは理解し難いです。
自分の性エネルギーみなぎる器官ですから、誇らしげに触って気持ち良くなっているのが男子というイキモノです。
そもそも性欲が少ないならそれは個性であって、しようがないのですが、
恥ずかしいからとか背徳感から一人エッチをしないのは実に勿体無いと思います。
人には男女それぞれ、性エネルギーみなぎる器官が備わっています。
それは丁寧に愛撫してあげれば最高に気持ち良くなれるポテンシャルを秘めています。
なかなかイクことができない女性には
まずは自身の体と向き合い、性欲に耳を澄ませ、自分の身体を愛撫する技術を身につける事がオーガズムへの近道だとアドバイスしています。
自分の性欲を意識して、恥ずかしがらず、そのエネルギーに素直になれれば
もっと気持ち良いセックスができ、人生がより充実させることが出来るでしょう。
オイルマッサージをしながら、以上のような事を彼女にお話ししました。
僕のメッセージを身体で理解するにはある程度の時間がかかるでしょうが、
少しでも彼女の性欲が目覚めるように、全身を丁寧に愛撫していきました。
・・・ぼくはそっと目を閉じ、すべての神経を研ぎ澄ました。
感じるのは指先のやわらかな感触と粘膜の温もり、そして彼女の息づかい。
ながく焦らされた末に、彼女は愛されることを切に願ったはずだ。
自分の愛で方を知らない彼女の代わりに、僕は彼女の秘部を優しく、ときには情熱的に愛した。
お互いがお互いを愛し、愛されたいという想いが交じり合うとき、ようやく深い快感の扉が開く。
ぱっくりと花開いた花弁の間へと指先をあてがい、ゆっくりと挿入していった。
愛される準備ができた肉壺は熱くたぎり、それ自体がひとつの生き物のように強く脈打ちながら
指を招き入れる。
女性の身体、特に粘膜があらわになった局部は傷つきやすいガラス細工のように繊細だ。
下手に扱おうものなら、敏感な神経は快感から一瞬で不快感へと変わる。
しかしじっくり時間をかけて、柔らかなタッチで愛された女性の身体は
快感を満たすことのできる大きな水瓶にもなる。
慎重に挿入した指は、やがて彼女の奥深くまで辿り着いた。
正確には本能的な欲求にまかせて脈打つ肉壁によって導かれたというところか。
指をすっぽり咥え込んだ秘部は、強すぎずそれでいて緩くもない絶妙な圧力で僕の指を握りしめてくる。
その官能的な肉感に、僕は思わず声を漏らした。
まるで一本の指が男性器になったように、彼女を感じていた。
ゆっくりと指を動かし、彼女の反応を確かめる。
かすかな変化に膣は弾力的に反応し、口から甘い吐息がこぼれた。
肉壺全体が性感帯になったことを確認するやいなや
あたかも自由度の増した男性器のように指を動かして彼女の奥の性感帯を一定のリズムで愛撫すると、
それに呼応するかのように彼女の膣も脈打ち、やがて二つの波がシンクロしていった。
重なり合った快感の波は、局部から全身へと駆け巡る。
そのあまりの快楽に彼女は身体をのけ返らせ、腰を大きく浮かせながら絶叫していた。
二本の指を強めに動かして愛撫しても、それに負けないように肉壁も圧力を返してくる。
その圧力によって必然的に、彼女は絶叫しながら噴水のように潮を吹き続けた。
まるで水瓶から溢れ出した清らかな水のように。
そこには雑念などあろうはずもなかった。
あるのはただ“快楽”と生命のもつ本来の“美しさ”だけであった。
その強烈な輝きの頂において、一瞬意識が遠のいたかのように静寂が訪れ
まもなく彼女はオーガズムへと達した。
脱力とともにベッドに沈み込む彼女に
僕はそっとキスをした。